【旅行】エーゲ海クルーズ その8(最終日)

クルーズ最終日。今日は朝9時にベネツィアに戻り、そこから1日観光して夜ロンドンに戻る予定。

その日のうちに次の客が入ってくるため、7時半には部屋を開けなければならないとのこと。
荷物をまとめて1週間寝泊まりした部屋にお別れする。

いつもはばらける朝食時間も今日はほぼ一斉に部屋を出てきているので、かなりの混みっぷり。
席を探すのにも一苦労だ。

その上天気が荒れ模様で、風もかなりあり、船はゆらゆらと大きく揺れる。
ビュッフェレストランは13階デッキにあるので、その揺れ幅も大きい。歩くのも不安定になるレベル。


部屋から撮った海の様子。わかりづらいがかなり荒れている。



何とか席を見つけて朝食を食べていると、船内放送が流れた。

「天候が悪く、港に入ることができないため、しばらくこのまま海上で待機します」


まじか。まあ確かにこの状況だと港は大変なことになってるだろうなあ…

…というわけで待機。


しかし…1時間以上経っても動く気配も天候が回復する気配もなし。
流石に心配になってきたので、ネットの繋がるところへ行って、天気予報を調べてみる。

…どうやら19時位まではこのままの模様。

この時既に11時を回っていたが、飛行機を逃した人も当然出てきていた。
日本人のご夫婦で、同じくロンドンから来ていた方がいらっしゃったが、もう今日は帰れなそうだと嘆いていらっしゃった。


船内も大分混沌としてきていて、受付には状況確認の人で長蛇の列。

そして、昼食の提供と、部屋を再度使用してよいという連絡が。


一旦部屋に戻って一休み。朝お別れしたばかりなのに、まさかまた入ることになるとは。


とりあえず腹ごしらえに向かう。相変わらずの混みっぷり。
スイスから来たというご夫婦の隣に座らせてもらう。しかし英語はほとんど話せない模様。ドイツ語圏らしい。
既に飛行機は逃した組で、諦めモードだ。


昼食を食べている間に船内放送が入る。


ベネツィア港に入るのは諦めます。南にあるラヴェンナ港を目指します。到着予定時刻は16:30です」


ええっ!?
ベネツィアに着かないの?16時半って…そこからどうすりゃいいのよ?

船内も騒然。


とりあえず詳細を確認しようと、日本人乗組員を探し、情報を聞く。
それによると、ラヴェンナに着いた後、シャトルバスでベネツィア港まで移動になるらしい。
ベネツィアに送り届けるまではがMSCの責務だということだ。
逆に言えばそれ以外の部分は責任外ということになるのだが…

ラヴェンナヴェネツィア間は車で2時間半程とのこと。
予定通り16時半に着いたとして、そこから全員が下船するまでには大体1時間半かかるということなので、地上に出られるのが18時頃。

荷物を受け取ってバスに乗り込んで…出発できるのは順調にいって18時半位だろうか。
そこから2時間半で21時。21時にベネツィア港…
港から空港まではタクシーで45分位だったハズ。すぐに捕まえられたとして22時前位に空港着。

フライトの時間は 22時40分 なので、理想的にいってもギリギリである。
早目に下船できれば可能性は高まるが…


とは言え、今はどうすることもできないので、ガタガタせずに大人しく到着を待つことにする。
ショップ等、全てのサービスがオープンしたので、時間潰しのカジノ へ。

スロットマシーンの大当たり時のセリフに法則性があることに気づき、嫁と2人で1時期は相当な数にまで上昇させた。


あっという間に時間は過ぎ、16時頃に船が港に近づいたということでカジノも終了。
部屋に戻って荷物を取って、タグ色毎に指定された集合場所へ向かう。

この 「タグ色」による指定は絶対 で、この色毎に降りなければならない。
待っている間、早めに降ろしてもらえるよう頼んでいた人もいたが、ことごとく断られていた。
まあ既に預けた荷物は色分けされて保管されているし、1人でも認めてしまえば収集がつかなくなるから仕方ないだろうな。


17時近くになってようやく下船開始。この時点で予定よりもやや遅れ気味。暗雲が…
モニターにタグ色が表示され、その表示に従って指定のタグ色の組が降りていく。

自分たちは赤の2組。全体の真ん中位の順番だろうか。待っている時間の長いこと。


モニターに表示されるや否や、すぐに席を立って進んで行く。ここで後れを取るわけにはいかない。
さっさと下船して荷物置き場へ。

荷物も幸いすぐ見つけることができ、赤組としてはトップクラスの早さでバス乗り場にでることができた。


しかし…そこで見たものは、まさに カオス

既に日も落ち真っ暗なところに、大量のバスとそれに群がる乗客達。
どれに乗ればいいのかもわからず、近くに停まっていた日本のツアー客の乗ったバスの前では、間違えて荷物を載せようとする外人達に向かって、
「This is private bus! Not shuttle!」と叫んでいた。


立ちすくむ人もいれば、兎に角歩き回ってバスに乗り込もうとする人もいる。
一瞬あっけにとられたが、バスに乗らなければ始まらない。とりあえず目に入ったバスに荷物を積み込む。

バスの横では、おっちゃんが大声でがなしたてているが、イタリア語なので全くわからない。
英語で言っていくれと頼むと、カタコトの英語で「これは"空港"行きじゃなくて"港"行きだぞ!」とアピール。

そう、各バスによって行先も違う のだ。
元々MSCのオプションでマルコ・ポーロ空港行きへのシャトルバスを頼んでいた人達用のバスも来ている。


こちらはトレヴィゾ空港で、そんなバスは出ていないので港でOK。
おっちゃんにそれで大丈夫だと伝え、バスに乗り込んだ。

ほどなくしてバスは満員に。

他のバスは既に動き出していたが、あまりに密集し過ぎていて前にしか進めない。
前方も詰まっているため、なかなか公道に出ることができていなかったが、自分達の乗ったバスの運転手はそれを見て方針転換。

隣のバスが抜けたわずかな隙間を使って車の向きを180度変え、密集の裏側に抜けるというテクニックを発揮。


この運ちゃんの見事な機転のおかげで、恐らく前から3台目か4台目位のスタートが切れた。
もしあのまま前に進んでいたら、30分近くはかかっていただろうから、これは本当に大きな差になりそうだ。

動いてしまえば、もうこちらにできることはない。
緊迫した雰囲気もあって疲れたので、バスの中ではゆっくり寝ることにする。



しかし、近づいてくると到着時刻が気になって目が覚めてしまう。本当に微妙なところだ。
こんな遅い時間に、着いてすぐタクシーが捕まるだろうか?かなり現実感のない希望な気がする…

そして近づく港。周囲は真っ暗。タクシーが沢山走っている気配はない…。


バスの到着と共に飛び降り、タクシー乗り場を探す…が、既に長蛇の列。
そして見ている限り1台もタクシーは来ていない。


このままでは絶対に間に合わない。

そう感じて、一か八か港から出て大通りまで歩いて行くことを決意。
雨こそほぼ止んでいたものの、風は変わらず強く、防ぐ物のない港では歩くのもしんどいほど。しかしここで泣き言は言っていられない。
歯を食いしばって前に進む。


そしてここで再び奇跡が起こる。
5分程歩いたところで、向こうから向かってくるタクシーを発見!
恐らく港のタクシー乗り場に向かうと思うが、ここで止めるしかない。

街灯も何もなく、姿が見えないと思い、全身を大きく振ってアピール。
走り過ぎるギリギリのところで気づいてもらうころができ、止まってくれた!

「どこまで行きたいんだ?」
トレヴィゾ空港まで!」
「40キロくらいあるから100ユーロ位かかるぞ。それでいいか?」

100ユーロ!?

手持ちのユーロは50ユーロ程しかない…。が、とりあえずこのチャンスを逃すわけにはいかない。
空港に行けばATMもあるだろう。

「OK。わかった。向かってくれ」


こうして奇跡に奇跡が重なって、9時10分タクシー乗車。
恐らく10時前には空港に着くだろう。小さな空港だから30分前までに着ければなんとかなるはずだ。

走り出してから運ちゃんに「空港にATMあるよね」と聞くと、「あるよ」とのこと。これで一安心。
…が、運ちゃんが気を利かせて途中のATMで停めてくれた。まあ心配だったっていうのもあるんだろうが。


道中は渋滞もなく、順調そのもの。
9時45分、空港着。料金を払って(確かに100ユーロ位だった)、急いで空港の中へ。夜も遅いのでシーンとしているのが不気味。

カウンター前の行列もなし。すぐにチェックイン。


…間に合った…。




もし飛行機を逃していたら、まず別の飛行機を押さえてホテルを確保して、会社も休まねばならず…で大変なことになっていただろう。
バスの運ちゃんが機転を利かせてくれなかったら…タクシーがすぐに捕まらなかったら…。
そしてそもそもこんな馬鹿げた時間の飛行機にしていなかったら…。考えただけでゾッとする。



ともあれ、何とか飛行機に乗ることができた。機中では嫁共々爆睡だったのは言うまでもない。
なんせ、売り子が通ったことに全く気付かず、最近嫁がコレクションしている、各航空会社の飛行機の模型を買い逃した位だ。

まあライアンはこれかも乗る機会があるだろうから、そんなにクリティカルな問題ではないが。


ムジカに乗っていた人で、今日中に飛行機に乗る予定だった人のうち9割以上は逃してしまったんだろうな…。本当にラッキーだったと思う。

カオス状態のラヴェンナ港と、周りに何もないベネツィア港は、あの後どうなったんだろうか…。

そして今日出発予定だった乗客も。
どうやら我々が乗ってきたバスに乗って折り返し、ラヴェンナ港から出発になるということだったみたいだが、全てのバスが到着するのは日付が変わってからになるだろう。
夕食もショーも何もないのだろうか?夕食位はバイキングで出るのかなあ…

今となっては知る由もない。


こういう時、ツアーで来ていると楽だなと思う。
日本からの人達も全てガイドさん任せだったし。代替バスもホテルも飛行機も、全て旅行会社側の責任で用意されるからね。

今回は降りる方だったからまだ何とかなったが、これが乗る方だったらちゃんと辿りつけたかすらも怪しいわ。
港は閉鎖されていたんだろうし、どこに行けばいいのか全然わからなかったんじゃないかと思う。

それを考えればベネツィア観光は全くできなかったけど、それ以外は満喫できたから十分満足だ。


スタンステッド到着は深夜0時過ぎ。入国審査は長蛇の列。
まあそれも帰れなかったことに比べれば微々たる問題だ。

シャトルバスに乗って自宅へ着いたのは 2時位


これで 明日出勤 とは…。我ながらなんというハードスケジュール。
まあそれも帰れなかったことに…(以下略)



最終日はドタバタだったけど、総じてみれば非常に満足度の高い旅行だった。
人生に一度はクルーズ旅行、自信をもっておススメします。



ではでは。


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