全米OPEN・マリーの優勝に思ふ
木曜日。昨日ほどではないものの、今朝も肌寒い天気。
新聞では全米OPENでイギリス勢76年ぶりのグランドスラム制覇を成し遂げたマリーの帰国情報など。
優勝から大分経ってしまったが、試合自体はLIVEで観戦。
雨の関係でロンドン時間の月曜深夜になってしまったが、最後まで見届けた。
序盤から 全仏OPENか!? と思うような長時間のラリーの応酬。
球足の遅いクレーコートではなく、ハードコートで、それも球足が速いと言われる全米のサーフェースでのあのラリーは、
マリーとジョコビッチの技術の高さを存分に感じさせるものだった。
ちなみにこの試合の最多ラリー数は 54本 である。
走り回りながら27本も正確に打ち続けるなんて考えられないわ…。
今年の全豪の決勝(ナダル対ジョコビッチ)における最多ラリー数は31本だったようなので、2倍近い数値。
確かに、ナダルとジョコビッチの2人であれば長いラリーになるのもわかる。プロの中でもトップレベルにミスが少ない2人だから。
しかし、マリーはナダルレベルにミスが少ないタイプではなかったはず。
ここ半年程で爆発的に成長したということか。
こうして競りに競った上でマリーが2セットを連取した時は、体力的な問題も考えてマリーの優勝は固いと思っていた。
何故なら雨の関係で、マリーは中2日、ジョコビッチは中1日での決勝戦だったからだ。
事実、ジョコビッチは第1セットの終盤から既にフットワークが不自然に見え、明らかに疲れが見えていた。
ところが…だ。
2セット連取して優勝がちらついたことによる心の揺れなのか、はたまたジョコビッチの前年覇者としての意地なのか、第3セットでは流れが一変。
ジョコビッチが2セットを連取し、勝負はまさかのファイナルセットにもつれ込む。
今までのマリーであれば、ここで流れを取り戻すことができず敗退…という絵が見えたところだったが、
ウインブルドン決勝での敗退、オリンピック金メダルという経験を経て、精神的にも大きく成長していた。
もう一度気持ちを切り替えて、体力的に限界がきていたジョコビッチを押し返し、6-2で奪って悲願の初優勝となった。
優勝が決まった瞬間は歓喜の雄叫びを上げて走り回る…のかと思いきや、
現実が上手く呑み込めていない 様子で茫然と佇むのみ。
ジョコビッチがネットを越えて抱擁しに来る程、その場から動かなかった。
そのことからも彼がどれほど大きなプレッシャーを背負って戦っていたのかがわかる。
ビッグ4と言われながら一人だけグランドスラムを取っていないという負い目、グランドスラム決勝4連敗という不名誉、
そして何と言っても 英国人76年ぶりの優勝 という国民の期待…。
逆に言えばそれらから解放されたマリーが、今後どれだけ活躍できるのか楽しみでもあるけども。
緊張の糸が切れて下降していってしまうのか、いよいよマリー時代が到来するのか。
まあ正直今回は運のよさもあったのは事実。
ナダルの欠場、フェデラーの早期敗退、そして相手より1日多く休息できたという日程的な事情…。
ただ、それを踏まえても、今回のマリーのプレーは優勝に値したね。歴史に残る感動的な決勝戦だった。
年明けからずっと見てきて思うのは、やはりオリンピックの経験がとても大きかったんだなということ。
ミックスでペアを組んだ18歳のロブソンの快進撃を見ても、国を背負った戦いで結果を残せたという自信は何物にも変えがたいものなのだろうと。
特にマリーの場合、上述の通りいつも国民の期待を一身に受けて戦っていたから、同じかそれ以上のプレッシャーに打ち勝てた自信は、
例えグランドスラムではないにしても、彼の中で最大の支えになったんだろう。
日本男子も錦織を始めトップ100に3人が入るという近年稀にみる黄金時代を迎えているけど、
もっと日本全体のテニス熱が盛り上がって、選手に「期待に応えなければ」といういい意味でのプレッシャーをかけられるようになれば、
グランドスラムを取れる位メンタル的にも強い選手になれるのかもしれないなと思う。
フェデラー⇒ナダル⇒ジョコビッチ⇒マリーと来て、次に錦織時代!…が来ないかなあ…
写真はスイス・ベルンにいた熊。ベルンの象徴。
<今日の英語>−よく歳を取る−
age well : よく歳を取る=(人)年の割に若い、(ワインやチーズなど)よく熟成されている
日本だとdon't age wellだけど、こっちだとage wellに見えるみたいなんだよね。
やっぱり日本人は幼く見えるのかしら。
さて。明日はやっと金曜日。
乗り越えて週末のアッシー君に備えねば。
では。
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