日本文化の英訳作業
木曜日。仕事は今日も地道な提案書作り。
ここまでは日本語で書いて、コンテンツの過不足について確認してきたが、いよいよ英訳作業になる。
昨日も書いた通り、「拝啓 貴社、益々ご清祥のこととお慶び申し上げます。この度はご提案の機会を賜り…」の英訳から入る。
日本での提案書であれば、「はじめに」として上記のような挨拶文を入れるのが 「お約束」。
正直、特に意味はないし、毎回使いまわしているわけだから、もはや雛形の一部、日本の文化といってよいと思う。
翻って英語文化では、そのような挨拶文は入れないのが普通らしい。
表紙があって、次に目次があって、すぐに本文に入る。
本来、英語で提案書を書くならば、「お約束」の挨拶は書く必要すらないはず…なのだが、
いかんせんここが微妙なところで、英語で書くには書くが、提出先が日系企業だったりするわけだ。
そうなると、言語は英語・文化は日本 という「ねじれ現象」が発生してしまう。
今やっている作業は日本語の英訳ではなく、日本文化の英訳 だということだと感じている。
日本語独特の言い回し、奥ゆかしさ、リズム等々…。それを英訳するのは、なかなか骨の折れる作業である。
どんなに文法的に正しくても、文化的におかしければビジネスの場面ではNGだ。
今日はちょうど英語のレッスンがあったので、できたところまでレビューしてもらった。
やはりネイティブの視点は参考になる。
直してもらった英語を見ると、確かに本や新聞を読んでいるような感覚に近くなる。
日本語の「奥ゆかしさ」や「敬語」の部分は、英語では「遠回しの表現」を用いて伝えるとのこと。
「遠回し」とは、例えば 過去の出来事ではないのに過去形を使う など。
日本で高校レベルの英語を勉強していたら、一度は以下のような表現の違いについて触れたことがあるだろう。
<今日の英語>−助動詞の過去形−
Can you help me?
私を手伝えますか?
Could you help me?
私を手伝って頂けますか?
can が過去形になって could になると、「奥ゆかしさ」が生まれるのだ。
過去形だが、過去のことではない。後者を、「手伝うことができましたか?」とは訳さない。
まあ日本語訳はあくまで参考で(伝えたいことは双方同じなので)、感覚の違いがわかって頂けたら。
「過去形」とは言うが、これは「現実との距離が離れている」というニュアンスを表し、
時間的に離れれば過去になるし、可能性が離れれば推量になるし、気持ちが離れれば奥ゆかしさになると。
やっぱり日本人だとその辺の使い方の加減が上手くわからず苦心する。
直してもらった英文が美しいことはよくわかるんだけど。
ただ、レビューの総評としては
「すばらしいビジネス英語になっている。努力の結果がとてもよくわかる。10年英語圏で生活しているような文章だ。」
とたいそうなお褒めの言葉を頂いた。
以前書いた通り、「褒める」文化が根付いている国だから、100%真に受けてはいけないと思うが、それでもやはり嬉しいもの。
積み重ねて少しでもネイティブの感覚に近づきたいね。
写真はこの前の土曜日の夕食、ケバブのテイクアウト。ラム・シシ1人前£6.95。
今日はまた日本からの出張者が来て、その対応で夜はお食事会。明日は飲み会。
もう金曜日か。今週は夜も予定が埋まっていたし、今までで一番早く感じたかも。
土日が終わればすぐに5月になっちゃうな。早い早い。
そろそろ月報も書き始めないと。
では。
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